一緒に宇宙(そら)へ

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一緒に宇宙(そら)へ

 一週間後、種子島宇宙センターのH4ロケット司令船。その操縦室(コックピット)に座る暁人の中に私の意識は未だ存在していた。  TV中継のアナウンスが操縦室(コックピット)にも聴こえて来る。 「いよいよ再生臓器の実験ミッションを担ったH4ロケットが種子島から打ち上げられます。この実験が成功すれば様々な臓器を自分のES(胚性幹)細胞から造り出す事が出来る様になり、全く拒絶反応のない臓器移植技術を私達は手に入れる事になります。移植を待つ世界中の患者さんがこの打ち上げと実験の成功を心待ちにしています」  そのアナウンスに意識だけの私も感動していた。私の命には間に合わなかったけど、暁人の技術で世界中の多くの人々が救われる筈だ。 (暁人、本当に凄いね) 「ああ、アナ。挫けそうになった僕に勇気をくれてありがとう」  私も本当に嬉しかった。  そしてもう直ぐ私の最期の夢も叶うのだから……。 「Tマイナス20セカンド、最終打ち上げへシーケンス!!」  管制センターの声が無線から響いてくる 「8、7、メインエンジンスタート、2、1」 「SRB点火リフトオフ」  その瞬間、H4ロケットがゆっくり発射台を離れた。暁人の身体に物凄いGが掛かって来る。でも暁人の心は高揚感に溢れているのが分かる。 「アナ、宇宙へ行くよ!」  その瞬間、私の意識が少しずつ消えていくのを感じていた。 (ええ! 暁人。夢が叶ったね。おめでとう!)  最期の夢が叶った私の意識は、ロケットと一緒に宇宙(そら)に昇って行った。 FIN
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