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「Crew Dragon Go For Launch!!」
展望台の全員が大きな歓声をあげる。アナウンスが聞き取れなくて暁人を見上げると彼が口角を上げた。
「アナ、いよいよ打ち上げだよ!」
英語が苦手な私の為に暁人がアナウンスを訳してくれる。正面の大型スクリーンに表示されている秒読みは15を切った。
「T-10 second and counting」
「あと10秒だ」
次の瞬間、展望台の全員が秒読みに声を合わせた。私達も声を上げる。
「Three, Two, One, Go!!」
その瞬間、遠くに見える発射台のロケットの尾部から激しい煙が吹き出して、クルードラゴンは発射台を離れた。少し遅れて凄まじい轟音が展望台に響いて来る。
「行け、クルードラゴン!」
そう叫んだ暁人の顔を見つめた。その表情は生き生きと輝いている。
「あんなに高く昇っていく。そして宇宙を廻るISSへ行くんだ」
暁人は既に小さな点となったロケットを見上げている。
「そうだね。本当に凄いね」
私もとても感動していた。
「なあ、アナ。僕は絶対宇宙へ行くよ」
「それは素敵ね。きっとその夢は叶うわ。そしたら私はおめでとうって言ってあげたい」
「うん、ありがとう、アナ」
その時の彼のキラキラ輝く瞳にキュンとしていた。
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