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暁人との出会い
私の父は安曇重工宇宙部門の役員で、今年の四月からLAの北米本社に出向になっていた。それで私達家族はこの地に引っ越して来たの。LAには日本人学校もあるけど、両親の薦めで私は現地校に入った。日本では小学六年生だった私は、アメリカでは7th Grade、中学二年生で、アメリカ人の子供達と英語で授業を受ける事になった。勿論、最初から授業に付いて行くのは無理だから、ESLの補講を受けて、少しずつ英語力を伸ばしていくことになったの。だけど最初の一週間で私は挫けそうだった。授業の英語は全く聞き取れない、教科書に何が書いているかも分からない。声を掛けてくれるクラスメートの言葉も全く理解出来なかった。
ある日、カフェテリアでランチを一人で食べていると声が聞こえた。
「Are you Japanese?」
見上げると東洋人の男の子がトレイを持って私を笑顔で見つめている。背が高くてカッコイイ男子だ。
「えっと、イエス、ジャパニーズ」
「僕も日本人だよ。ここに座って良い?」
「うん、良いわよ」
私の向かいに腰を降ろすと彼は右手を差し出した。
「僕は立花暁人、八年生。三年前からここに通っている」
私は少しだけ躊躇したけど、彼の右手を握った。
「ありがとう、立花君。私は小林杏奈、七年生。先週からここに通っているの。でも英語が全然ダメで、まだお友達も居ないの」
「僕は暁人で良いよ。君はアンナ? Annaって綴りだよね。英語読みならアナだね。宜しくアナ。僕が友達になるよ。この中学には他に日本人居ないから、僕が英語も教えてあげるよ」
そう言いながら、彼はトレイの上のサンドイッチを頬張った。
「えっと、暁人君。どうして私とお友達になってくれるの?」
彼は驚いた様に私を見つめると、口角を少しだけ上げた。
「だって、アナ、可愛いからさ」
そのストレートな言葉に私の鼓動が一気に高まった。
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