プロム

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プロム

 その三年後、私は十年生になり高校(ハイ)に上がっていた。でもその時、まだ十六歳だった暁人は飛び級で十二年生、高校(ハイ)最終学年(シニア)になっていた。彼はこの学校始まって以来の秀才と呼ばれていたの。そしてスタンフォード大学の宇宙工学科へ首席合格をしていた。倍率三十倍の大学の首席だよ。本当に凄いよね。  それと私達家族は父の出向期間の終了に伴い、この年で帰国する事になっていたの。だから暁人とはもう直ぐお別れ……。寂しいなぁ。  暁人の卒業式が迫っていたある日、私のMath(数学)のクラスに暁人がやって来た。 「暁人、どうしたの?」  彼は無言で小さなカードを渡してくれる。 「これは?」 「いいから、カードを裏返してみて」  首を傾げながらカードを裏返すとそこには 『PROM』と赤い文字で書かれている。 「えっ? プロム。私を?」  みんなはプロムって知ってる? 高校(ハイ)の卒業ダンスパーティのこと。参加はカップルって決まっていて、男子が意中の女子を誘うの。 「君と参加したいんだ。どうかな?」  思いがけない提案に驚いて彼を見つめる。 「うん、暁人……。ありがとう」  その瞬間、暁人が『Yes!』と言ってガッツポーズをすると、飛び跳ねながらクラスを出て行った。私がボッーっとしていると周り中を女子達に囲まれる。 「アナ、アキトにプロムに誘われたのね! おめでとう!」  みんなのおめでとうの合唱に私は嬉しくて泣いちゃった。
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