よいおとしを

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早いもので年の瀬が押し迫り、 今年も残すところあとわずかになりました。 貴方様におかれましては、 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。 …ところで、その昔、人々にとって年末とは、 溜まったツケを清算し、 新たな年を迎える準備をする大事な時期でもありました。 ツケを払わなければいけないが、 お金が無くなると年が越せなくなるという、 切羽詰まった気持ちを、 「年の瀬」という言葉で表現したそうです。 …あら、ご気分がすぐれぬご様子。 そう、貴方様が今まで私に与えてきた数々の所業… 恨みつらみの「ツケ」をお忘れではございませんよね? しかしながら未だ謝罪の確認が取れておりません。 つきましては、誠に遺憾ではございますが、 ただいまより死んで償っていただきますことを ご承知おきください。 えぇ。ご心配にはおよびません。 これだけの高い岸壁から落ちれば、海面に激しく打ち付けられ、 命の保証はもとより、証拠も一切残りません。 では…よい落としを。
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