#1 さぁ動乱の時代へ、

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#1 さぁ動乱の時代へ、

ここは日出和国(ひいづわこく)。世界でも最弱と言われる、国力の弱い国だ。 そんな日出和国の神霊山脈(みたまさんみゃく)には、異能を使える神仙人しんせんびとが住む仙境・神霊山(みたまやま)があった。そして、神霊山に住む、せ#98@ぁ76;は、滅亡の危機に直面しているぃ&#1ヲ7*9@ぅの、&#わ28ぁ%ト2;に「#ぉr954ぅ21‼&;え{レ*61」と&#128ぃゑ2;&#12-_tnfy// 155;⋆#128154;&#10013あ54;&#1281ubkkzzp‘‘‘;;@@@@@@@aaaaaaaaa あら?途中から読めなくなっていますね。・・・続きが知りたいから早く教えろ?ふふっ、人に物を頼むのに、そんな口をきいてもいいのでしょうか?この続きが知りたいのなら・・・実際あなたが自分の目で見てくればいいじゃないですか? ・・・それでは、「世界大戦演義(せかいたいせんえんぎ)」の世界へいってらっしゃい。 ・・・・・・・・・・ 俺の名前は、戦場 兵世(せんば ひょうせ)。ここ神霊山に住む神仙人の1人だ。様々な世界を渡り歩く能力を持っている。ま、あまり使わないが。神仙人と言うと、特別な力を持っていて神様や仙人のように強い、というイメージをもつ奴らも多いと聞くが、実際そんなことはない。フツーの人間がちょっとだけ魔法を使えるようなもので、「不老不死」とか「死者蘇生」とか、そんな能力がなければすぐに死んでしまう。寿命も、フツーの人間と変わらないし。なんでそんな偏見もつかなぁ・・・。 ところで、俺は今書物を読んでいる。朝からずーっと書庫にこもりっきり。ああ、この書庫の本もほとんど読んでしまった。また別の世界へ行って、新しい本でも買いに行こうかな。 そう考えを巡らせていると、ふと足元にあった本に気づいた。そっと拾い上げる。ボロボロになった表紙には、掠れたインクで『孫子の兵法・入門編』と書いてあった。この本も、他の世界で買ってきたものだ。たしか・・・買った場所を日本国の東京、とか言ったか?まだ俺が小さいころに買ったものなので、もっと詳細な住所は覚えていないが。 にしても、この本はいつ読んでも飽きない。この本の解説に書いてあったことだが、孫子の兵法と言うのは、中国という国で昔書かれた兵法書の様だ。孫武、という奴が書いたらしい。俺がこの本を買ったとき、その世界は戦争など一つもなく、平和な世界だった。だから最初は「戦争をする必要もないのに、何故兵法書を読むんだろう」と疑問を持っていたが、成る程。経営とか商業、人生の生き方にも通用する書物だった。それ以降俺はこの本を毎日読んで、ついには文章をすべて暗記するに至った。・・・ちょっと自分でも引いた。 ああ、畑仕事とか草鞋編みとか、そんなめんどくさいことは置いておいて、今日はじっくり書物をーー。 「ちょーっと待ったぁーーい!!」 そんな叫びとともに、書庫の扉が勢いよく開けられた。戸が打ち付けられる、大きな音がする。書庫の入口には、俺の騒がしくてうるさい仲間がいた。 「げっ・・・。なんでここに・・・。」 「なんでって、兵世が畑仕事さぼるからだろ!つーか、『今日はじっくり書物を』って今日に限らず毎日だろ!本の虫!!」 あー・・・もう。邪魔者が来た。せっかくゆっくり書物を読もうとしたのに。ホントうるっさいんだから。このめっちゃうるさい奴は剣火 霊武(つるぎび みたけ)。俺の仲間。兎に角うるさい。身体能力上昇の能力を持っている。 霊武はずかずかと書庫に入って来た。そして、おれの腕を無理矢理掴んだ。俺をずるずると引きずり、外に出そうとする。 「ったく、本ばっか読んでないで外にも出ろよ引き籠り!体力落ちるぞ!」 「ヤダ!やめろ!俺はまだ本を読んでいたいんだ!」 俺は必死に抵抗する。じたばたと手足を動かす。大声で泣き叫ぶ。しかし、ずっと体を動かさず本を読んでいる俺と、毎日畑仕事の重労働をこなし武術を磨いている霊武では、著しい力の差があった。どんなに抵抗しても、霊武に勝てるはずもなく、ただただ引きずられていった。 「霊武!戦って勝つよりも戦わないで勝つ方がいいんだぞ!力ずくじゃなくて言葉で俺を動かせよ!!」 「やっだねー。別に兵世と戦ってる訳じゃないしー。」 ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てながら、結局玄関まで来てしまった。 「ああ・・・ヤダよ・・・。畑仕事ヤダよ・・・。」 俺はとにかく体を動かすのが嫌いなので、涙目ながらにぐずった。霊武はジト目でこちらを見て、 「あのな、畑仕事しないと俺だってお前だって食っていけないんだぞ?いいのかそれで。」 と、大変ごもっともなことを言った。霊武め・・・。脳筋に見えて、割と常識あるんだよな・・・。割と・・・。 「ちっ、しょーがないな。分かったよ、この戦場兵世様が直々に働いてやるから。」 「なんか偉そうなんだけど・・・。」 俺は落胆して、トボトボとした足取りで、畑へと向かった。 その道中。 「あ、兵世!霊武!」 俺たちを呼ぶ声が聞こえた。声の主は、手には何やら果物を持っているようだ。声の主は、御音 言抄(おね げんしょう)。こいつも俺の仲間。霊武と違って、うるさくないし、優しい。まるで仏様のようだ・・・。言抄は言語を操る能力を持っている。 「ねぇ~~~、言抄~~~!霊武が無理矢理俺に畑仕事しろって言うんだよ~~!」 もしかしたら、言抄がやらなくてもいいよ、と言ってくれるかもしれない。そんな淡い期待を込めて、泣きついてみたが・・・。 「そうなの?でも兵世。生きてくためには食べ物は作らなくちゃダメなんだよ?多少めんどくさくてもね。」 そう柔らかく微笑まれてド正論を突き付けられてしまった。まぁ、こうなるよね・・・。横を見ると、霊武が俺を嘲笑うように、ニヤニヤしていた。あらムカつく。 「あ、そうだ。」 言抄は思い出したように空を見上げた。それからまた、手の方に視線をやると、俺と霊武に一つずつ果物を分けてくれた。 「さっき、お隣さんからビワの実を貰ったんだ。よかったら食べてよ!」 言抄はにこにこしながらそう話す。お隣さんか。今度お礼でもいいに行こうか。手のひらには、黄橙色に熟れた、小さなビワの実がある。美味しそうだな・・・。霊武に取られないうちに早く食べよ。 俺は、ビワの実を食べて、畑へと向かった。 そして・・・。 こんなことになるなんて・・・。 ・・・・・・・・・・ 一方、その頃の日出和国の首都・東江都(あずまえと)。長閑な神霊山の村とは違い、少し、緊迫しているような空気だった。 東江都にある、東江都之宮(あずまえとのみや)では、国王である日出和 灯等(ひいづわ あかりと)が頭を抱えて考えを巡らしていた。 「ああ・・・どうすればよいのだ・・・。この国はもう滅亡してしまう・・・。隣国のコリュアムド国に不穏な動きがあるというのに、先の戦で国は疲弊している・・・。戦うことすらままならないのに・・・攻め入られてしまう・・・!」 灯等はどうすればいいのか分からなかった。もうこの国は滅亡の道へ突き進むしかないのか。しかし、民を守らねば・・・。灯等は、絶望していた。 そこへ、灯等の家臣が朝見しに来た。 家臣は、跪き、灯等に挨拶をした。 「おお、よく来たな!面を上げよ。して、なにかこの国を救うための策でも思いついたか?」 灯等は期待を込めて家臣に声をかけた。 家臣は「はっ」と短く返事をして、意見を述べた。 「天子様も、神霊山という場所をご存じでしょう。あの山は神仙人が集まる仙境だと、古くからの国の言い伝えにあります。その神霊山に、『戦場兵世』という知恵者がいると・・・。そのような噂が国中で立っております。その者を見つけ出し、臣にし、この国を立て直してはいかがでしょう?」 灯等はじっとその話を聞いていた。戦場兵世、たしかにちらとその名前を聞いたことがある・・・。彼を臣下としてとりたて、この国を救うために力添えをしてもらえれば・・・!灯等は、そう思い、家臣にこう言った。 「いい考えだ!褒美を取らす!今すぐにでもその戦場兵世のもとへ行くぞ!」 「はっ、承知いたしました。すぐに人を手配し、必ずや戦場兵世を説得して見せまする!」 家臣はそう応え、部屋から出ていこうとした。しかし、そんな家臣を灯等は呼び止めた。 「待て!朕も行くぞ!戦場兵世を説得するには、自ら赴かねば!」 家臣は驚いて、目を丸くした。 「何、天子様も行くと!?しかし、神霊山はここから北へ北へと遠い道のりを進まなければなりません。山も険しいと言います。とても危険です、天子様はここでしばしお待ちを!」 家臣はそう咎めたが、灯等は引く気はない。 「戦場兵世に、朕自ら思いを伝えたいのだ。許してはくれぬか?」 家臣は少し迷ったが、結局灯等も一緒に神霊山に行くことになった。 「この国を救うぞ!」 灯等は意気揚々と支度を始めるのであった。 ・・・・・・・・・・ 「はぁぁぁぁーーー・・・。」 俺は長い溜息をついた。今は畑仕事中。ああ、早く終わらないだろうか・・・。・・・あとどのくらい耕さなきゃいけないんだ?んー・・・まだ半分くらいか・・・。ああ・・・。もう・・・。 ざく、ざく、ざく、と土を耕す音が響いて空に消える。霊武と言抄は元気よく鍬を振るっているが、俺は一人弱弱しく土を耕している。何が楽しいんだろう、畑仕事って・・・。 「ああ!もう疲れたぁ!」 俺は疲れ果てて鍬を放り投げ、へたりと座り込んだ。筋肉痛が辛い・・・。もう休ませてくれ・・・。 霊武はそんな俺を見て、 「なんだよ、弱っちいなぁーー。もっと頑張れよ!」 と文句を言った。は?なんだようっせーな。しかし言抄がそれを咎めた。 「まぁまぁ、霊武。兵世も頑張ったんだから。兵世、あとは僕たちがやっておくから、休んでいいよ~!」 言抄はそう俺に呼び掛ける。え、まじ!?休んでいいの!?嬉しい!やっぱり言抄は優しいな~~。誰かさんと違って。 俺は縁側へ行き、寝転がった。そして、いつしか眠ってしまった・・・。 「・・・て、・・・ぅせ、おきて、・・・。」 なんだよ、人が眠ってるというのに。起こすなようるさいな。 「・・・起きろよ兵世えええええええええええええ!!」 「うわ!?」 流石にうるさすぎたので、驚いて飛び起きてしまった。誰だよ!いったい誰が!!人が心地よく眠ってるときに!!はっ、霊武が起こしたのか。クッソ・・・一殴りしてやる!! 「おい、霊武!お前ほんとうるさ・・・」 「しーーっ!」 霊武は口に人差し指を当てて、「静かにしろ」のポーズをした。 「・・・なんだよ。」 俺は、何かあると思って、霊武の言うことを聞いた。霊武は小さな声で俺に話しかけた。 「日出和国の天子様がいるんだよ!」 ・・・なんだって?日出和国の天子様?国王がいるってこと?俺は一瞬何が起こっているか分からず、茫然と霊武の方を見た。 「・・・嘘だろ。」 きっと冗談だろう、そう思って霊武に話しかけたが、霊武は真面目な顔で、 「いや、本当。」 と言い放った。・・・え?なんで?俺なんか悪いことした?頭の中でぐるぐると思考を巡らしたが、思い当たるものは何もない。取りあえず、俺に会いに来たようなので天子様が待っている客間まで出向くことにした。 「・・・すいません、何も言わず来てしまって。お茶もごちそうになってしまったし・・・。」 「いえいえ、いいんですよ。天子様こそ、こんな何もない田舎に自らお越しになられて・・・。」 客間の方から言抄と国王だと思われる人物の声が聞こえてくる。なんか、緊張してきた。なんか無礼なことしたら殺されるんじゃ・・・。ま、まあそんなことないもんね・・・!きっとない!きっとそんなこと起きないよ!きっと・・・。 「あ、天子様。兵世が来たようです、長いことお待ちいただいて、大変申し訳ございません・・・。」 「そんな、待つなんて・・・。」 うわ、まじ?これ会わなきゃいけないの?めんど。大丈夫かな、俺・・・。 とりあえず、どうにでもなれ! 「初めまして、こんにちは。遠方よりお越しいただき、誠にありがとうございます。私が戦場兵世です、よろしくお願いいたします。」 え、いいのかこれで!?いいのか!? 天子様はにこりと微笑み、俺にお辞儀をした。 「こちらこそ、急に伺いに来てしまって・・・。」 俺と天子様は言葉を交わした。めっちゃ慣れないんだけど、こーゆーの。 ・・・・・・・・・・ ・・・随分と長く話している。日出和国が滅びるかもしれない事、隣国のコリュアムド国に不穏な動きがあること、俺が知恵者だと言われてること。知恵者って・・・。兵法書読んでるだけなんだけど。 で、まぁ何が言いたいかって、俺を家臣にしたいらしい。参謀だとよ。 「・・・残念ですが、私は東江都にはいきません。天子様の家臣にもなりません。申し訳ないですが・・・。」 俺はその願いを断った。冗談じゃない。俺が国を救うって・・・。無理に決まっている。兵法書は読んでいる。内容もすべて覚えている。しかし、実戦はしたことがない。それに、俺は生まれてこの方ずっとこの山奥で暮らしている。いわば田舎者だ。都会に行って自分は通用するのか。きっとしないだろう。書物を読むだけが能の俺に、何ができるというのかーー。 「・・・そうですか。ならば・・・。」 天子様は、うつむいた。 「この国はもう滅んだも同然です・・・。」 そう言って、天子様は涙を流した。 ああ。 自分てば、何もできないな。運動もできないし。書物を読むだけだし。目の前にいる一人の人間でさえ、泣かせてしまうし。慰めることもできない。 昔からそうだった。 両親は俺に何も残してはくれなかったのだ。「出来損ない」と言われ、この山に捨てられた。 ずっと前から分かっていたはず。自分は出来損ない。もう、そんなことさえ忘れるくらいに、その感情は沸き上がった。忘れてた。もう、感じなかったはずなのに。 何でこの人と会ってから、また感じるようになった?自分は出来損ないだと。出来損ないじゃ、なくなりたいと。 逃げていていいのか?ずっとこのまま出来損ないでいいのか?ひとを慰めることもできない、こんな能無しでいいのか? わかったよ。 「・・・そこまで言うのなら、引き受けましょう。」 ぼそりと、呟いた。 天子様は、顔をあげた。周りも驚いている。天子様の表情が晴れていく。 「本当ですか!?」 天子様は身を乗り出して、嬉しがった。 「・・・ええ。」 俺は少々引き気味に答えた。 天子様は俺に頭を下げて、何度もお礼を述べた。 「ほんっとうにありがとうございます!!」 俺は、この国の参謀になった。そして、 動乱の時代が始まった。 《第2話に続く》
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