眠れない夜をかぞえて

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そして本当の最後。 お墓から近い哲也の実家によった。これで最後、本当に最後になると思う。ううん、最後にしなくちゃいけない。 「突然ご連絡してすみません」 「いいのよ、あがって」 「おじゃまします」 休みの最後の日、私は哲也のお墓に来ていた。 いつもの様にお墓を掃除して、手を合わせてただ墓誌を見つめていた。 「おや、お嬢さんは」 声を掛けてきたのは、七回忌法要の時にお会いした住職だった。 「こんにちは」 「ああ、こんにちは。今日も暑いねえ」 「ええ、本当に」 坊主頭の住職は、頭の汗もすごかった。手に持っているのはタオルで、ハンカチでは拭ききれないのだろう。坊主の頭を円をかくようにタオルで汗を拭った。 「お墓参りかの?」 「はい」 「そうか……一つ、お嬢さんに話をしよう。いいかな」 「……はい」 「……お墓参りをすれば供養になっていると思っている人が多いが、心があればお墓参りなどしなくてもいい。心がなくて義務的に墓参りに来るよりよっぽどいいのだよ。いつまでも忘れずに故人に思いを寄せる。心のこもったお参り、それが大切なんだ。それに何より、故人は大切な人の幸せを願っているものだ。お嬢さんは、とてもいい顔をするようになったね。故人も喜んでおられるよ」
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