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「美緒ちゃんには感謝しかないよ。哲也は美緒ちゃんを好きになって、恋を知って旅立ったんだ。親として心からお礼を言うよ、ありがとう、美緒ちゃん」
おじさんもおばさんも泣いていた。その涙は、哲也を忘れてしまうことの悲しさじゃなく、本当に私のことを思って流してくれた涙だった。
哲也が亡くなって、私が普通に生活出来るようになったころ、ご両親には哲也を忘れて、自分の人生を生きなさいと、何度も言われていた。哲也の死を受け入れきれていなかった私は、また精神的に不安定になって行った。それから今までずっとこうして見守ってくれていた。
ここに来ることで、私は心の安定を図ることが出来ていたけれど、ご両親は私を見ることで、悲しみが癒えなかったのではないだろうか。
私のしてきたことはただの自己満足で、ご両親や私の家族、そして哲也も安心して眠ることが出来なかったのではないだろうか。
自分だけが、眠れない夜が続いていると思っていたのではないだろうか。
私はなんと自己中心的で傲慢な考えの持ち主だったのだろう。
帰り際にもう一度仏壇に手を合わせる。
「哲也もやっとゆっくり眠ることが出来るのね。ごめんね……心配を掛けちゃってて。今まで見守ってくれてありがとう」
哲也に辛い思いをさせてしまった7年間。これからはゆっくり休んで欲しい。それが私の最後の思いだ。
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