眠れない夜をかぞえて

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一週間の休みが終わる。 無断欠勤のように無理やり休んでしまった夏休みだった。 夏休みの最後の日、自分の心に区切りをつける最後の仕上げが残っていた。 私はスマホを持ち耳に充てる。 留守番電話のメッセージを再生した。 『美緒、俺。ごめん、改まって。どうしても今伝えたくて、気持ちを抑えられなくて、電話をしちゃったんだ。バイト中だった? えっと……俺は美緒が好きだ。とっても大好きだ。今日会いたい、会ってちゃんと気持ちを伝えたい。また電話するよ、バイト頑張れ』 再生が終わった。 なんて短いんだろう。もっと聞きたい、最後にもう一度再生してもいいだろうか。終わりになんてしたくない。 「消したくない、消したくないよ……」 だめ、哲也はそれを望んでいないはず。 「哲也……本当にさようなら……ううん、さよならじゃない。またいつか会える日まで……それまでの間だけ少し離れているだけ」 消去をすれば、哲也に心配をかけずに前へ進める。でも指が震えて言うことを聞かない。 「やっぱりいやだよ……」 覚悟を決めたはずだけど、無理。ずるずると引きずってしまいそうだから、今日必ず実行すると決めたのに。
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