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「はい白~っ!」
相澤君はほっとした顔をしている。
「良かったぁ~。でこれからどうする?」
「店長に言って人事に説明してもらわなきゃ」
「えっ、人事には早坂が言った方が早くね?」
私は首を横に振り「私はただの担当者です。力不足です」
「あぁ~、そうだったぁ」
「でも近藤さんとは私が話す」
相澤君は両手を顔の前で合わせ
「助かるぅ~ありがと」
****
近藤さんと面談室にいる。
今まででわかった事を総て告げた。それを聞いていた近藤さんは泣きながら
「その通りです。すみません。年甲斐もなく……でも……」
「お金に困ってるの?」
「はい、キャッシングでもうどうにもならなくて…見境がつかなくなってお世話になったリーダーにまで迷惑かけて」
「近藤さん、これは迷惑なんて事ではすまないのよ?リーダーの人生が変わってしまうの」
近藤さんは泣き崩れた。
「でね、リーダーの潔白は証明出来ました。だから戻って来てもらえます。ただ、貴方はもうここにはいられない」
泣きながら頷いている。
「でも、稼がなきゃ借金かえせないよね?」
「……」
「あなたの精肉の技術があれば技術派遣があるから紹介しようか?時給もかなり高いし…」
「えっ?」近藤さんが顔を上げた。
「その代わり、この会社のパートさんの様に福利厚生はありません。勿論ボーナスもでません。働かなきゃお金になりません。でも仕方ないですよね?」
「はい、お願いします。でも忙しい中私が抜けてみんなに迷惑が…」
「近藤さん、冷たい様ですが、会社にとって近藤さんの代わりはいます。でもご家族にとってあなたの代わりはいないんですよ?しっかり立ち直って下さい」
私の話を聞き、近藤さんは泣き崩れた。私は近藤さんの背中をさすりながら人の脆さを感じていた。
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