主人公 ~物を売る-副店長になるまで~

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それからも私の日々は変わらずお寿司を握っては並べ、レジに入りを繰り返していた。 夕方のピーク用のお寿司を出し終え、後片付けをし、作業場の床をデッキブラシで擦っていた。するとスウィングドアが開いた。相澤君だ。 「早坂、店長が呼んでる。事務所へ」 「はい…」 なんだろう…。 「辞令 鮮魚担当 早坂佳美 9月1日をもって静岡店、副店長を命ず」 「ありがとうございます」 私は両手を出し頭を下げながら辞令を受け取った。そして顔を上げ……。 「え~っ!副店長?なんでぇ」 皆笑ってる。店長が咳払いをして話し出した。 「実は静岡店はパワハラが多くてな…で、人事が早坂に納めに行かせろって」 相澤君が「適任だな、でも何段飛びの昇進だよ」 店長が続けた。 「実はこの前のセクハラ騒ぎを納めたろ?人事もハラスメントの対応を改善しなきゃと思ったらしい…。早坂君、人事の時『言ったもん勝ちじゃん!』て怒った?」 「ヤバッ、は、はい…」 「「「あちゃ~」」」 皆は呆れているけど見る目は暖かい。
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