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2014年3月20日
「辞令 食品担当マネージャー 早坂佳美 4月1日をもって人事部 人材育成リーダーを命ず」
「ありがとうございます」
私は両手を出し頭を下げながら辞令を受け取った。
「な~んてちっとも有り難くない辞令もらっちやってさ!」
食品のバックルームでふてくされながら試食の菓子パンを頬張っていた。
鮮魚リーダーと精肉リーダーもパンを摘まみながら笑っている。
鮮魚リーダーが「いやいや凄いじゃん、人事だぜ?」
「人事は人事でも育成部だよ?それも私が?ムリムリムリムリ!」
精肉リーダーは
「だよなぁ?お前だもんな!ムリムリムリムリ」
「でしょ?それに就職難の時ならさ、それなりの大学とかから来たオツムだけはいいのが入って来るだろうけど今だよ?」
二人ともご最もと言う顔で頷いている。
「あっ!二人とも、そこのチェックシートちゃんと書いてよ、パンの感想。試食したんだから!」
「ハイハイ、何時もの事で」
鮮魚リーダーが耳に挟んだボールペンで記入し始めた。
精肉リーダーが聞いてきた。
「ところでこの店の最終出勤日はいつ?」
「そうだなぁ、引っ越しを着任日から逆算して…あっ!でも後任の引き継ぎもあるから……ん~!わかんないっ!」
二人ともガクっと体を斜めに落とした。
精肉リーダーが「まぁとにかく頼みますよ?将来俺達の会社を背負って立つ新人さん達を」
「は~い!任して!この店には1、2を争う人材を配属させるから!」
「「よっ!頼みまっせ!」」
「うん、下からね!」
「「はい?」」
今度は反対側に斜めに体を落としていた。
私は片手を上げ指だけヒラヒラさせながら事務所に戻った。
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