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悪夢封印
人間は時に悪夢にうなされる。悪夢は苦しむ人間を見て嘲笑う。夢から覚めれば普通の世界で、安堵の息をつきながらもその恐怖はしばらく頭に焼き付く。そして再び悪夢に取り憑かれ、深い闇に吸い込まれていく。
『長谷川くん、次の依頼は✕✕市の〇〇町。〇〇駅近くのファミレスまでお願いね』
「了解です」
中年の男の声に続き、少年は短く返事をした。腕にある通信機の電源を切ると、彼は迷うことなく目的地へと歩いていった。
電車を使って数十分後、少年は指定されたファミレスに到着した。昼過ぎで、店内は家族連れで賑わっている。店員が慌ただしく動く中、少年はある人物を探した。
「窓際にいる小柄な女子高生……」
予め伝えられている特徴を確認する。辺りを見回すと、店の隅の席に若い女性が座っていた。小柄かどうかはわかりづらいが、制服姿で学生だということはわかった。他のテーブル席は家族連ればかりだったため、恐らく彼女が今回の依頼人だろう。少年は彼女の元へと歩みを進めた。
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