悪夢封印

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その声にも瑠海は揺るがない。決意の中に不安が混じっている声を聞き逃すはずがなかった。 「手、離して……。もう私はいらないんです……!」 何度振り払われようとも、瑠海は強く握る。彼女の中の迷いを見抜き、低い声で語りかけた。 「あなたがいなくなれば、きっと悲しむ人がいます」 しかし、心は遠くを見つめながら弱く答えた。 「いませんよ……私は1人ぼっちだもの……」 近くにいながらどこか離れているような、そんな距離を感じた。 「残されたあなたの家族や友人はどうするんです?」 「私には家族も友人もいません。小さい頃に両親は離婚してるし、仲のいい友達だっていない……私は1人なの……!」 言葉の語尾が強くなる。目には涙がたまっている。やるせない悲しみが彼女の震える腕から伝わってくる。 「その寂しさをいつもいつもお母さんにぶつけてしまった……鬱陶しいとかうるさいとか思ってしまった……大好きなのに……なのにっ……お母さんまでいなくなっちゃった……! 私のせいで、お母さんがっ……!」
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