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そこにいたのは、夢の中で遺影として写っていた女性……心の母親だ。何事かとその場で突っ立っている。
瑠海は冷や汗が走った。予想以上に心が深い眠りについていたため、不在だったはずの母親が帰ってきてしまったのだ。年頃の女性の家に、得体の知れない男がいる……こんな状況を見て、心穏やかなはずがない。母親と遭遇してしまい、どう見ても修羅場である。
「これは、一体……」
心の母親はドアの前で唖然としている。瑠海は本当のことを言おうか、何か適当な言い訳をしようか考えたが、こういう時に限って冷静な判断ができずにいた。せっかく心と母親が上手く行きそうだったのに、これでは関係が悪化するどころか、自分も無事には帰れない……そう焦りを感じていると。
「心! あんたいつの間に彼氏できてたのよー! やるじゃなーい!」
「「へっ?」」
想定外の発言に、2人して声が重なった。怒るのかと思いきや、母親は目を輝かせて満面の笑みを浮かべている。
「お、お母さん……?」
「いやー、あんたにまさか彼氏ができたなんて……しかもイケメンの!」
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