悪夢封印

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近づくと、女子生徒が顔を上げた。目が大きく、まつ毛の長い少女だった。整った顔立ちをしているが、目の下には隈ができている。かなり深刻そうだな、と少年は心の中で呟いた。 「こんにちは。『Save Somebody From Nightmares』の長谷川瑠海(はせがわ・るか)です」 少年……瑠海が淡々と声をかけると、少女は慌てて立ち上がった。 「あっ、あのっ、依頼をした日高心(ひだか・こころ)ですっ……!」 依頼人である少女・心の声は愛らしいものであったが、どこか弱々しいことを瑠海は聞き逃さなかった。 短い自己紹介を終え、2人は席に腰を下ろした。まもなく店員が瑠海の水を持ってきた。店員が去った後、瑠海はメニュー表を開いてみた。ファミレスなだけあり、子どもが好きそうな料理がずらりと並んでいる。朝食抜きでここまで来た瑠海は非常に腹を空かせており、一瞬でメニューを決めた。 「注文はもうしましたか?」 「あ、いえ、まだ……」
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