悪夢封印

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瑠海は自分を待ってくれていた心にメニュー表を向けた。心はページを何度も行き来させた。女子はメニューを選ぶのに、カロリーや値段などを色々と考えるものなのだろうか、と瑠海は密かに感じた。彼自身はメニューをすぐに決める性格なのだが、毎回似たような料理ばかり選んでしまう。もう少しじっくりと考えてから注文した方がよいのかもしれない、と思いながら彼女の選択を待った。 2人ともメニューを決め終え、店員を呼んで注文をした。瑠海はハンバーグ定食、心はバニラアイスを頼んだ。 「それだけで大丈夫ですか?」 「はい、大丈夫です……」 ああそうか、と瑠海は察した。彼女はカロリーや値段を気にしていたわけではない、恐らく食欲がないのだろう。顔色もあまりいいとは言えない。食べられるものが少なくて、選ぶのに時間がかかったのかもしれない。 さて、と瑠海が切り出し、ようやく本題に入った。 「今回は依頼をしていただきありがとうございます」 軽く頭を下げ、再び心の顔を見つめて話し始めた。
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