悪夢封印

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少し経った後、瑠海は心に布団に入るよう促した。心は怯えた顔で布団の中に体を埋めた。不安に押しつぶされそうなのだろう。瑠海は無表情だが少しつまりづまりに心に言葉をかけた。 「あの、このブレスレットは研究所と繋がっています。今からスイッチを入れるので安心してください。その……変なことしたりしませんし、仮に何かしたとしても、これを通して研究所の者にバレますから……」 瑠海がそう言うと、心は小さく頷いた。本来このブレスレットは必要な時のみ研究所と通信をするのだが、男女が2人きりなことに不安を感じた瑠海は早々にスイッチを入れた。こうすることで、研究所にいる人間に「自分は怪しいことはしていない」と主張できるからだ。布団にいる少女とそれを見守る少年……傍から見れば危ない構図である。真面目な瑠海らしい考えだ。 「また、あの夢を見るのかな……」 「大丈夫です、これで最後ですから」 不安そうにしている心に、瑠海はそう声をかけた。 「絶対に悪夢を追い払います」 早く彼女が安心できますように……瑠海は彼女の頭を撫でる代わりに、ただじっと見つめることでその意味を込めた。
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