年末近くに級友達に合うために

1/1
前へ
/8ページ
次へ

年末近くに級友達に合うために

 年末近くの平日夕方、久しぶりに高校の時の部活仲間と飲み会をすることになった。  待ち合わせ場所の新小岩駅には、今までまったく来た事がなかった。  だから「少し早めに行こうかな」って思って動いていたのだが...  (ヤバい...やったなコレは...)  待ち合わせの時間は17:45  そして現在の時間は15:20  (早すぎた...)  さすがに二時間以上も前に待ち合わせ場所に着くとは思わなかった。  (さて...どうしたものか...)  とりあえず、電車から降りていく人の流れに身を任せて改札を出る。  そして改札を出ると、すぐに駅の大きな出入り口が見えたので、まったく知らない場所ではあったけれど、そこに何も考えずに、さらに歩みを進める。  そして出た先には、右手にパチスロ屋、左手には本屋があった。  暫く考える。  (まぁ、本屋で二時間以上立ち読みするのも無理があるよな...)    そう思い、俺は右手にあるパチスロ屋に歩みを進めて、店内に入った。  店の中に入ると、そこは外とは比べものにならないほどの騒音と、猛烈なタバコの臭いが、耳と鼻を刺激する。  そしてまぁ、いつものように、俺は5円スロットを探して、さらにそこから自分の好きなアニメとタイアップしている機械を探して、そこに座る。  一応勘違いされたくはないので言って置くが、別に俺は、スロットで一儲けしようなんてことは考えていない。  もしそうなら、5円なんかではなく、せめて20円の方に座るだろう。  そっちの方が当たればデカい。  しかしそうしないのは、俺の目的が金儲けではなく、暇つぶしにあるからだ。  それなら、1000円でより多く遊べる方を選ぶのは、当然のことだろう。  そして二時間経過...  (いやまじか...あんだけ演出入ったのにまったく帰ってこなかった...)  1000円使い果たしたところで、まさかのチャンス到来だったので、「これは行くしかない」と思って、もう1000円突っ込んだ。  しかし結果は、見る無残な惨敗で終わった...  結局使った金額は2000円。  (まぁでも、当初の目的は果たせたし、あとは30分くらい、向かいの本屋で時間を潰すか...)  そう思うことにして、その店を出てから、そのまま向かいの本屋に歩いた。  本屋に入るといつも始めに、趣味が趣味だからかもしれないけれど、小説のコーナーに向かう。  そしてただ、まずは眺める。  背表紙のタイトルで気になったのがあれば手を取って、最初と最後の3~5行程に目を通す。  そして結局、それをまた元の場所に戻す。  同じ様なことを、ライトノベルなんかの他ジャンルの作品でもやってしまう。  これはもう、癖なのだ。  俺は自分の中で、生意気にも少しだけ、作品見るときの物差しがある。  面白い作品は、大概最初に話していた世界観や台詞が最後には崩れてしまっているような作品。  綺麗だと思う作品は、最初と最後の語り部が同じ様に語って語り尽くされているような作品。  逆に面白くない作品は、そもそも最初の語りや台詞に惹かれなかったりする場合だ。  そういう場合、一応最後のページも目を通すけど、やはり買おうとは思わない。  こういう風に俺はいつも、誰かの作品を少し見ては、閉じてしまう。  忙しいとか、金がないとか、そういうそれっぽいことを言いながら...  「さて、そろそろ行くか...」  腕時計を見ながら、時間を確認する。  時刻は17:40  待ち合わせ五分前  「これならむしろ、行くべきだよね...?」なんて、誰もいないのに誰かに尋ねるようにして  俺はその店を、あとにした。  
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加