酒涙雨に誘われた再会

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 約束通り、私と衛士は美術館で二回目の再会を果たした。一緒に作品を見て回り、衛士は絵についての逸話や解説をわかりやすくしてくれ、私は彼の話に夢中になった。  その後にやっと連絡先を交換して、定期的にふたりで会うようになる。  男性にはどこか苦手意識があったけれど、衛士の紳士的な態度や品のよさからなのか、彼と過ごす時間はとても心地よかった。  なにより彼は、私が杉井電産の社長の娘だと知らない。父の紹介、会社関係で声をかけてくる異性は皆、私が社長令嬢だと知っているのが前提で、それなりに色眼鏡で見られてきた。  純粋に私自身ではなく肩書きに重きを置く人がいるのもよくわかっている。  でも衛士は違う。なにより、それを差し引いても他人には身構えて作ってしまうタイプの私が、彼との会話は無理せず自然体で話せた。  次に会える日が待ち遠しくて、楽しみで、それが衛士に恋をしているからなのだと気づくのは、少し後の話だった。
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