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1-5.Nighatmare:parrot
真っ白な空を見上げる。
転々と極彩色。
たぶん、鳥。
「青くん、やっほー!」
どこからか現れた赤。声がでかいので、首を飛ばす。
触手の先端は案外鋭利。
赤い汁が散布。首は地面にバウンド。やがて、大人しく着地。
「挨拶、過激すぎない?」
落ちた首から声が聞こえた。
『アイサツ、カゲキスギナイ?』
空からも声が聞こえた。
それは羽を鳴らし、赤の頭に降り立つ。
「なんだこれ」
俺が言う。
『ナンダコレ』
それが言う。
「オウムじゃない?」
赤が言う。
『オウムジャナイ?』
オウムが言う。
「すごい、面白い!」
オウムに踏まれた赤の頭が喋る。
『スゴイ、オモシロイ!』
赤の頭を踏んだオウムが喋る。
やかましさ二倍。苛立ち。俺が作るは触手沼。
と、オウムが赤の顔をつついた。
「ちょ、やめてってば!」
『チョ、ヤメテッテバ!』
繰り返すオウム。くちばしは目玉へ。
「待って、それ駄目」
『マッテ、ソレダメ』
オウムは見事、赤の目玉を抉った。
悲鳴が上がる。
愉快。
赤がたぎらせる閃光。それは速い。オウムは気づかない。
バチリと瞬く。
哀れ、あっという間にオウムは丸焼き。
「ったく、ひどいやつだ」
赤は転がった頭を拾う。その目は赤い汁を流した空洞。
首を引っ付け、赤はポンと手を打った。
くすくす笑い、焼き鳥の足をむんずと掴む。そして、逆さに高く掲げる。
「見て見て青くん、オウム返し。なんちゃって」
不服ながらうけた。
空にはまだいる。たくさんいる。数多のオウムが飛んでいる。
俺は地面を沸かし、青い触手を高く伸ばす。
そして、横一文字。オウムの群れに走らせる。
何十羽も貫いた。
オウムを串刺しにした触手をくるりと回転。数えきれない死体が、一斉に頭を地面に向ける。
「見てみろ。オウム返しだ」
「青くんって時々びっくりするくらい残酷だよね」
空からオウムの体液。それは、極彩色の汁。
滴るそれを浴びながら俺はケタケタ笑った。
【5.Nighatmare:parrot END】
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