4 魔王の嫁は、魔王候補生?

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4 魔王の嫁は、魔王候補生?

 4ー1 生活魔法ですか?  俺がアザゼルさんの奴隷になった翌日、俺は、ふかふかの大きなベッドで1人目覚めた。  「んっ・・」  「起きて、セツ」  お袋?  俺は、ベッドの中で掛布を被って呻いた。  「もうちょっと、だけ」  「セツ様?」  俺は、はっと気づいて目を開いた。  ここは、家じゃない。  「誰?」  俺は、起こしてくれた見知らぬ女の人の方を見た。  その女の人は、黒いメイドのお仕着せを着た若い女の人だった。栗色の髪を頭上で結っているメガネの下の青い目がきれいなメイドさんだ。  俺は、慌てて起きるとベッドから降りた。  「あの、おはようございます。すみません。遅くまで寝ちゃってて」  「いえ、大丈夫ですから」  メイドさんは、にっこりと微笑んだ。  「本日よりセツ様のお世話をつとめさせていただくことになりました、ワチ、と申します」  ワチさんは、ぺこりと頭を下げた。  俺は、わたわたしていた。  「こちらこそ、よろしくお願いします」  うん。  まっとうなふつうの女の子と口をきいたのっていつぶりだろう。  ここに来てからは特に女の子との出会いなんて微塵もなかったしな。  ワチさんは、俺を顔を洗えるようにと洗面台へと導いた。  が。  どこにも蛇口がない。  俺は、困った顔をしてワチさんの方を見た。  ワチさんは、最初、ぽかんとしていたがすぐに優しく微笑んで俺に洗面台の使い方を教えてくれた。  「生活魔法は、使えますよね?」  ワチさんに尋ねられて、俺は、頷いた。  っていうか、確か、あのクズ女神がそんなことをいっていたような気がする。  「では、それで水を出してください」  はい?  俺は、戸惑っていたが心の中で念じた。  水、出ろ!  ちゃぷん  空中に水の玉が浮かんでいる。  俺は、それにそっと手を触れてすくうと顔を洗った。  ワチさんは、それから風呂の用意をしてくれた。  といってもすでに湯船は用意してあったので、服を脱いで入るだけだったのだが。  俺は、たった今知り合ったばかりの女の人の前で裸になるのが恥ずかしくってもじもじしていた。  それに、もっと差し迫った用があったしな。  それは、トイレだった。  トイレは、昨夜、ここに案内してくれた執事のグールドさんにきいて知っていた。  だけど、ワチさんの前でするなんてできない!  「あの、自分でできるんでちょっと1人にしてっ!」
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