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14ー11 セカンドキス
俺は、手早く服を身に付けるとそのまま夜が来るのを待った。
奴は、俺のことをよく知っている。
俺の素性も、この世界にきてからどんなことがあったのかも。
そして、たぶん、スマホ女神のことも知っているのだろう。
俺は、ごくりと喉を鳴らした。
もしも。
スキル『ビッチ』を止められたら?
俺には、もう、何も残されてはいない。
そうなれば、俺は、奴の好きにされるしかない。
「おそらく、奴のバックについているアルトディアは、このスキルの裏技を知りません」
スマホ女神が声を潜めた。
「大丈夫です。今夜の戦いを制するのはセツさんです」
マジでか?
うん。
俺は、激しく同意した。
もし、今夜、奴を俺のスキルの餌食にできなければ、俺は。
この世界にきた初日のことが思い出された。
俺は、奴に初めてのキスを奪われ、そして、妊娠させられた。
もう。
あんなことは、たくさんだ。
俺は、スマホ女神以外の神に祈った。
どうか。
無事にみんなのもとへと帰れますように。
俺の子供を抱けますように。
どうか。
全てが、うまくいきますように。
夜が来る。
そして。
重い扉が開く音がして、奴の姿が現れた。
俺は。
ベッドの上に座っていた。
上目使いに奴を見上げる俺に、奴は、酷薄そうな笑みを浮かべた。
「まさか、お前を花嫁として迎える日が来ようとはな、セツ・グレイアム」
まったくな!
俺も、同じ意見だった。
俺は、口を開いた。
「訂正しろ、エイダス・フロウ。俺の名は、セツ・グレイアムじゃない。中田、中田セツ、だ」
ふん、とエイダスが鼻で笑った。
「どちらでも、同じだ」
エイダスは、俺の前に立つと俺に命じた。
「さっさと始めようか。すべての魔王の母。聖なる性奴よ」
「焦るなよ、エイダス」
俺は、にっと笑った。
「夜は、長いんだぜ」
「しかし、我々に語り合う過去などないだろう?」
エイダスが俺の頬に手を伸ばし触れた。
冷たさに俺は、背筋が震えた。
「私が怖いか?セツ」
「怖いよ、何しろ、闇の宰相様だものな」
俺が答えると、エイダスが口許を歪ませた。
「そうか、セツ」
エイダスが俺のことをベッドの上に横たわらせると囁いた。
「ならば、その体に恐怖を刻んでやろう」
エイダスの体が青く燃えているのがわかった。
その炎は、俺の体にも移り、そして、俺の体を燻し始めていた。
快楽が、欲しかった。
蕩けるような快楽が。
俺は、腕を伸ばしてそっとエイダスの頬に触れた。
「刻み付けるがいいさ、そんなもの、秒で忘れてやるから」
「ふん」
エイダスが笑いを含んだ。
「覚悟することだ、セツよ」
俺たちは、あの日以来の口づけを交わした。
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