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15ー4 時間ですか?
はい?
俺は、キョトンとして女神を見つめていた。
俺が祈ったからですと?
「忘れたのか?」
アルトディアが少し迷惑そうに告げた。
「私は、お前のつるんでいる不良女神とは、違うのだ。この世界の人々の祈りをきき、それを叶えるために尽力しているのだ」
マジですか?
俺は、はっと思い出した。
俺は、確かに、エイダスと相対する前に神に祈った。
スマホ女神以外の神に。
「ということは」
俺は、女神アルトディアに訊ねた。
「俺を助けてくれるの?」
「ああ?」
アルトディアは、不承不承に頷いた。
「お前を助けよう、セツ。といっても、すべてを叶えることはできん。なにしろ、お前は、私の敵であるフローディアの駒だからな」
「はぁ・・」
俺は、女神にきいた。
「では、何を叶えてくれるんですか?」
「時間をやろう、セツよ」
アルトディアは、俺に告げた。
「時間を」
「時間?」
俺がおうむ返しに訊ねると、アルトディアは、頷いた。
「そうだ。時間だ。お前たち、悠久の時を生きない者には、貴重なものであろう」
「貴重っていえば、貴重かもしれないですけど」
俺は、女神に言った。
「時間だけで何が解決できるんです?」
「それは、お前たちの考えることだ」
アルトディアは、俺に微笑んだ。
「何を、どう解決するのか。考えるための時間をお前たちにくれてやるのだ。ありがたく思うがいい」
「はい?」
俺がいまいち理解できずにちらっと上目使いに女神を見つめると、女神がプルプルと胸元を押さえて震えだした。
「その顔、反則だぞ、セツ」
「ふぇっ?」
俺は、ぽかんとして女神を見つめていた。
女神は、感極まった様子で俺に告げた。
「かわいい・・かわいすぎるぞ、セツ。あのごくつぶし女神もなかなかやりよるわ。このようないとけない者を刺客に送り込んでくるとは」
ん?
俺は、小首を傾げた。
かわいい?
どういうこと?
「ごふっ!」
アルトディアは、おかしな咳払いをした。
「とにかく、お前は、不老不死とはいかんが、時間を得ることになる。それを、無駄にするな、セツ」
俺は、女神の声が遠ざかっていくのを感じていた。
「ま、待って!」
俺は、叫んだ。
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