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15ー9 なんで会わせてあげないの?
祭りの賑わいは、夜までも続いていた。
俺は、夜風に吹かれながら広場で歌い騒ぐ人々を見つめていた。
貧しかったトリムナードは、なんとか立ち直りつつあった。
それは、エイダスをはじめとする俺を助けてくれる人々のおかげだった。
ロイや、アルバートおじさん。
それに他の魔王たち。
アザゼルさんたち魔王連合ギルドの助けもあった。
まあ、いまでも俺の立場は変わらずに安定の性奴隷なわけだったが。
あ、そうそう。
俺のことを蔭に日向にと守ってくれていた従僕たちのことも忘れてはいけない。
彼らの正体は、俺の幼馴染みたちだ。
彼らは、いまだに俺が彼らの正体に気づいていないと思っている。
バカか?
俺をなんだと思っているんだ?
そんなのとっくに気づいてるっちゅうの!
だけど、俺は、気づかないふりを続けていた。
なんか、認めるのもうっとしいし、役に立ってるからもうしばらくこのままほっとこうかと思っているんだ。
「セツ、そろそろ部屋に戻った方がいい。夜風は、体に悪い」
「スィラ」
俺の髪にそっと触れながらスィラが囁く。
スィラは、王族で次代の国王となるはずの王子様だったが、なにかと理由をつけては、この僻地を訪れていた。
今、ノイスジーラの国は、揺らいでいた。
宰相であるエイダスは、国を裏切っていた件で断罪された。
だが、そこは、自分達の膝にも傷を持っている王様たちは、エイダスを王都から追放するにとどめた。
エイダスの支配を解かれた王様たちは、すっかり心を入れ換えて国のために励んでいる。
それに、アルバートおじさんも少しだけ、力を貸しているようだしな。
あ、そうだった。
俺の本来の目的だった、グレイアム侯爵家の再興は、ロブを当主としてなされることとなった。
まあ、まだロブは幼いし、当分はアルバートおじさんが当主代理をつとめてくれることになっている。
俺は、部屋へと戻りながら、ほぅっとため息を漏らした。
「このこと、お袋には知らせられないんだよな」
うん。
ロブのことだって、お袋に会わせてやりたかった。
いちおう、初孫だしな。
でも、無理なんだよな。
「なんで、お母様に会わしてあげないんですか?セツさん」
はい?
目を丸くしている俺にスマホ女神がさらっと告げたのだ。
「会わせてあげればいいじゃないですか」
なんですと?
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