1悪役令嬢の息子、故郷へ帰る。

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1ー3 俺、死んじゃうんでしょうか?  「飲み込んだな、セツ」  俺の気持ちも知らずにおっさんは、満足そうに頷いた。  「これでいい。これでこの世界も安泰だ。とりあえずは、だが。お前たちグレイアム一族には油断ができんことも私は知っているわけだ。そこで、だ」  おっさんがちらっと俺を取り押さえている男たちの方を見た。  「離してやれ」  「「はっ!」」  男たちは、俺の体を押さえつけていた腕を緩めると俺を解放した。  腕が痺れていた。  俺は、ため息をつきながら立ち上がろうとした。  おっさんは、にぃっと嫌らしい笑いを浮かべて俺を舐めるように見つめた。  「それにしても、惜しいことだな。もしも、お前が呪われた御子でなければ、お前はこのルージナルスでも指折りの美姫となったことだろうに」  はい?  俺は、キッとおっさんを睨んだ。  「俺は、男だ!」  「そうなのか?」  おっさんがからかうような笑みを浮かべる。  俺は、かぁっと頬が熱くなるのを感じていた。  バカにしやがって!  俺がちょっと女顔してるからって、バカにしていやがる!  おっさんは、俺を見下すように笑った。  「ところでお前の体内には、今、魔核、つまり魔物の卵が植え付けられているわけだ。魔核は、お前の持つ魔力を吸収して数日中には、この世に誕生する。それは、私とお前の愛し子となろう」  はぁっ?  俺は、耳を疑った。  なんですと?  愛し子ですと?  つまり、何日かしたら俺に寄生している卵が孵化するということですか?  俺は、ゆっくりと立ち上がると自分の腹を両手で押さえた。  どくん。  何かが。  俺の腹の中で脈打っているのがわかった。  マジですか?  これ、どうやって生まれてくるわけ?  まさか、俺の腹を食い破って生まれてくるのか?  そんなことになったら、死んじゃうじゃん、俺!  「い・・いや、だっ!」  俺は、なんとか腹の中のそれを吐き出そうとしてえづいた。  酸っぱいものが吐き出されるばかりで俺は、泣きながらえづき続けた。  「無駄だ、無駄!私の魔力を流し込み活性化させた魔核は、お前の中にすでに根づいている。お前は1週間もしない内に魔力を吸い付くされて死ぬのだ!」  マジですか?  俺は、パニクっていた。  俺、死んじゃうのかよ?  っていうか、まだ、20歳だし!  まだ、心の嫁であるサナエちゃんのライブにも行ってないし!  死にたくねぇ!!  どうにかしなくては。  俺が必死に考えていると、おっさんは不吉な笑顔で俺を見つめてきた。  「1週間もあると、お前も手持ちぶさただろう?」  「そんなこと」  俺は、ひきつった笑顔を浮かべておっさんを見上げた。  なんか、でかいな、こいつら。  俺だってチビじゃねぇのに、こいつらの発育のよさは信じられないものがある。  
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