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「ねぇ、同じクラスだよね!」
思いきって影野に声をかけると決めた次の日、百合華はそう言って一人で帰る影野に声をかけた。
「あ、まぁ…」
「だよね!私、松江百合華!これからよろしくね!!」
「知ってる」
影野はまっすぐ前を見たまま、そう答えた。
「え、なんで?」
「なんでって、有名じゃん。『ウチの学校の高嶺の花』って」
「そ、そうか…」
[百合華](「そうか」ってなんか、偉そうだったかな…。失敗した)
そこで会話が途切れ、嫌な沈黙が続く。
「あ、あの〜」
慌てて百合華は話題を作ろうとしたが、気づいたら駅のホームに着いてしまった。
「松江さんも電車?」
「あ、うん。三ノ宮方面。影野くんは?」
「うん、内川方面……僕の名前、知ってるんだ」
「え?あ、そのー、まぁ」
[百合華](やば、失敗した!そういや影野くん自己紹介してなかったな……。ストーカーみたいで怖かったかも……)
ガタンゴトン ガタンゴトン
その時、三ノ宮行きの列車が来た。
「あ、ごめん。電車来たから」
百合華は逃げるように電車に乗り込んだ。
「じゃあまた明日!」
電車の中から百合華が笑顔で手を振ると、影野はダルそうに手を振った。
[百合華](なんか嫌そうだったな…。明日、もう1回頑張ってみよっかな。次は話題もちゃんと考えてこよう)
百合華は無理やりポジティブに考えた。
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