1人が本棚に入れています
本棚に追加
6
百合華は影野に会わないために、あえて急いで校門を出ていた。
「はぁーあ。」
百合華が大きなため息をついた時、自分を呼ぶ声が聞こえた。
「松江さん!」
百合華が振り返ると、そこには息切れした影野が立っていた。
「え、なんで……」
目を見開いている百合華に影野は近づいた。
「その……昨日は本当にすみませんでした。」
影野は百合華に深く頭を下げた。
「僕、勘違いしてた。松江さんはすごくモテてるじゃん。僕の中で『モテてる人』ってあざとくて、男子に媚び売ってる人っていう偏見があって。ていうか、そういうことしてるからモテてるみたいな。でも、松江さんは違った。松江さんがモテてるのはただただ松江さん自身に魅力があるから。なのに何も知らないのに偏見で傷つけてしまった。本当に申し訳ない。」
百合華は目頭を熱くしながら、笑顔で頷いた。
「ありがとう。」
影野は顔がやっと緩んだ。
そして二人は並んで歩き始めた。
最初のコメントを投稿しよう!