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僕は朝日悠(あさひ ゆう)。高校1年生。 最近両親が死んだ。 死因はよくある交通事故。 受け入れられなかった。 僕をずっと愛してくれていた優しいお父さんとお母さん。 もう会えないなんて信じたくない。信じない。 僕も…僕もそっちにいきたい。 両親のお葬式でそんなことを考えていた時、お母さんの弟、僕にとっての叔父が、話しかけてきた。 「ゆうくん…辛かったね…ゆうくんがよかったらだけど僕の所に来てみるかい?」 居場所がなくなっていた僕に、叔父はそう言ってくれた。 嬉しかった。僕の居場所をつくってくれた。 なにもなくなっていた僕に、少し光が見えたような気がした。 『もう少し、頑張ってみようかな…』 自然とそう思った。 「ありがとう…ございます。僕なんかが良ければよろしくお願いします…」 叔父は、嬉しそうだが泣きそうに微笑んだ。 「これからよろしくね。ゆうくん。」 僕はこれから、新しい第二の人生が始まる。 両親のことが色々片づいた。 悲しい気持ちや寂しい気持ちに耐える毎日。 毎晩、目がパンパンに腫れるまで泣き、いつの間にか寝ている、これの繰り返し。 両親の写真を見ながらソファに座っていたある日のこと。 インターホンがなった。 誰かと思い、ドアを開けると、そこには叔父が立っている。 「遅くなって済まなかった。さあ、ゆうくん。僕と一緒に来てくれるかい?」 僕は頷いた。 正直、この家に居ても辛いだけだ。 叔父が迎えに来てくれて心の底、安心した。 このままこの家に居たら、僕は… 叔父の家についた。 でかい。もう、ひたすらでかい。 こんなにお金持ちだったんだな…。 「ゆうくんは今日から、この部屋を使ってね」 叔父は、とても広い部屋を用意してくれた。 自分がこんな部屋…使っていいのだろうか… 「こんなに広い部屋、僕なんかがつかってもいいんですか…?」 僕は、下を向きながら言った。 「『僕なんか』なんて言ってはダメだよ。 ゆうくん。君は、自分に自信を持ちなさい。」 自信…そんなもの自分に持てるのだろうか… 何をしてもだめだめなこの僕が… 荷解きが終わた頃、叔父が話したいことがあると部屋に来た。 話ってなんだろう… 「ゆうくんは、僕の仕事は知っているかい?」 叔父さんの仕事… 前、お母さんに聞いたことあったような… あっ!学校の理事長!! 「学校の理事長さんをしてるんでしたよね?」 「よく知っていたね。姉さんに聞いたのかな。そうだよ、僕は今、私立白花学院という学校の理事長をしている。そこでだ、ゆうくん。君に1つ提案がある。」 「提案…って…?」 「それはね。ゆうくん、君に僕の学院にはいってもらいたいんだ。」 叔父さんの学院に…僕が…? 「でもね、僕の学院は少し特殊な所があるんだよ。」 「特殊な所…ですか。」 「そうだよ。僕の学院は小・中・高とあるんだ。それがどういう意味か分かるかい?」 「幼い頃からその学院にいるってこと…ですか…?」 「そう、正解。それにね、僕の学院は男子校なんだ。そうなるとね、恋愛対象が男性の子が必然的に増えるんだよ。」
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