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「まあ、立場が違えば、見方も違う。私たちだって、奴からしたら、目障りな存在だったに違いない」
「でも……」
「それに、あれだけの腕を持っている! 獣人は元来、聴覚や嗅覚に優れ、伏兵の気配にも敏感だ。味方になれば、かなりの戦力になるのは、間違いない。あいつも路頭に迷い、こちらも戦力に飢えている。これは天が与えた、好機かも知れないぞ!」
「それでも、僕は反対です……」
言いたいことは分かるのだが、釈然としない。
さっきの態度もそうだが、人間ではないあの姿にも違和感がある。
一緒に旅をして、本当に大丈夫なんだろうか?
「まあ、まだ決まった訳ではない! あいつにも、プライドがあるだろうし、むしろ断ってくる確率のほうが高そうだぞ。それに、あの娘を助けようと言ったのは、お前ではなかったか? シホル」
「はぁ……。まぁ、そうなんですが……」
正義感から助けようとしたことと、仲間になることは違う。
しかし、それを上手く説明する自信がない。
まあとりあえず、成り行きを見守るか。
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