第21話:オオカミ耳の娘

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「まあ、立場が違えば、見方も違う。私たちだって、奴からしたら、目障りな存在だったに違いない」 「でも……」 「それに、あれだけの腕を持っている! 獣人は元来、聴覚や嗅覚に優れ、伏兵の気配にも敏感だ。味方になれば、かなりの戦力になるのは、間違いない。あいつも路頭に迷い、こちらも戦力に飢えている。これは天が与えた、好機かも知れないぞ!」 「それでも、僕は反対です……」  言いたいことは分かるのだが、釈然としない。  さっきの態度もそうだが、人間ではないあの姿にも違和感がある。  一緒に旅をして、本当に大丈夫なんだろうか? 「まあ、まだ決まった訳ではない! あいつにも、プライドがあるだろうし、むしろ断ってくる確率のほうが高そうだぞ。それに、あの娘を助けようと言ったのは、お前ではなかったか? シホル」 「はぁ……。まぁ、そうなんですが……」  正義感から助けようとしたことと、仲間になることは違う。  しかし、それを上手く説明する自信がない。  まあとりあえず、成り行きを見守るか。
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