第1話:非常事態

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第1話:非常事態

「やばい! もうこんな時間じゃん!?」  僕の名前は二条院(にじょういん)師輔瑠(しほる)。  どこにでもいる冴えない高校生2年生……だと思う。  思うというのは、客観的にどう見られているのか、分からないからである。  勉強は、学年で真ん中あたり。  特にスポーツが出来るわけでもない。  趣味は、ゲームとアニメ鑑賞。  部活はやっていない。  中学2年まではサッカーをやっていたが、レギュラーになれず辞めてしまった。  もちろん、彼女もいない。作ったこともない。  そもそも、浮いた話とは無縁なのだ。  ところで今僕は、猛烈に急いでいる。  何故急いでいるのかといえば、待ちに待った『ゲーム・ステーション5』の初回限定コンソールの発売日だからだ。  にも関わらず、である。  明け方までネットゲームにはまってしまい、挙句寝坊をするという始末。  これでは、バイト代を貯め、コツコツ準備した苦労が水の泡じゃないか。  僕は急いで服を着替え、歯も磨かずに家を出た。  販売店までは、走って20分。  なだらかな坂を、転がるように駆けだした。 ――はぁはぁはぁ……。あの角を曲がれば目の前だ!
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