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「どうせ、お主も契約を破棄されるのだろう? ならば、我らと冒険者をやってみないか?」
「…………」
尚も、獣人は黙ったままだ。
「返事は、今すぐでなくてもいい。ここを退院する時、最終的な返事を聞きに来る。ところで、私の名はアイーシャ。名前を、聴かせてもらえないか?」
「カマラだガーー! 二つ名は『混沌』」
「ははは! 混沌のカマラか! よろしくな!」
「…………」
「それじゃあ、私たちは失礼する! ゆっくり怪我を治すんだぞ!」
そう言って、病室を後にした。
◇
「アイーシャさん! 僕、納得できません! なぜ、あんな無礼な奴を仲間にするんですか?」
「確かにあいつは無礼だが、気持ちが分からなくもないんだ!」
「気持ちですか……?」
「ああ! 食材ハンターというのは、雇われてるとは言え、身分を保証されたものではない。一回でも、仕事に穴を開ければ、さっきの獣人のように首を切られる」
「そもそも、食材ハンターって何ですか?」
「食材ハンターは、王宮に食材を納める際に雇われるハンターの事だ。クライアントが巨大な為、報酬もいいが命がけなんだ。請けた食材は、死んでも納めるのが彼らのしきたり。それを、守れなかった奴には同情するよ」
「でも、それって自業自得じゃないですか? 獲物だって、横取りしたし……」
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