1、薬指✕(バツ)

6/6
前へ
/49ページ
次へ
「美央…俺、美央の事好きだったよ、本気で」 「だから今、そういうの要らないし」 私がそう言うと、ドアのノックが聞こえた。 ドアを開けると誠二の薬指を持った女性。 「あ、美央…も居たのね。久しぶりだったわね」 「え、薬指…」 誠二は、立ち上がって私達に近付いてきた。 「俺の薬指…返せよ。何で…」 「だから言ったでしょ?私じゃないって。切った時見てたけれどね。あー気持ち悪っ。後は二人で。もう二度と二人には会わないからね」 「うん、元気でね、美央」 「じゃあね、お母さん……」 「は?お母さん?え?」 私は勢いよくドアを閉めた。 〈終〉
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加