2、三角女

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「なぁ、麗華、どうしてもダメなのか?」 「だって…あれ…してくれないんでしょ?」 「それは俺には出来ないよ」 私は可愛い。 と、自分でも思っている。 男の方からいつも誘われる。 「彼氏になりたい」の気持ちは嬉しいけれど、私は『ある条件』を満たしてくれる人じゃないと絶対付き合わない。 今まで満たしてくれる人は居なくて、この24年間彼氏は居ない。 "友達"は居るけれどね。 私…変じゃないよね? 自分の気持ちに気付いたのは小学生の時だった。 「この形なぁに?」 家で母に勉強を教えてもらっている時、教科書に載っていた形。 すごい引き付けられた。 「この形はね、三角って言うのよ」 それから私は「三角の物」を好み、集めるようになった。 積み木やイス、靴も先が尖った物を買った。 おにぎりも絶対三角の形にし、料理の具も三角に切らないと落ち着かなかった。 母は、 「おもしろい子ね」 と笑うだけで、何も言って来なかった。 父は…居ない。 私が産まれた時に居なくなったらしい。 だから、顔も全く分からない。
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