ただよって、ただよって

1/6
前へ
/6ページ
次へ
 やあ。はじめまして、こんにちは。  こんにちはと言ったが、実を言うと今が何時か分からない。どうしてかと言うと、目の前が真っ暗だからだ。真っ暗なら夜なんじゃないかと思うかもしれないが少し込み入っていてね。  何せ私は海にいるのだ。色々あって、まぁそれはこれから話すが、海辺まで逃げてきたは良いものの、海に落ちて溺れて動けなくなり、気付いたら海を漂っていたのだ。  それなら死んでいるのではないかという疑問が出てくるだろう。確かにその疑問は最もである。だが、僕はこうして意識がある。意識があるということは生きているということだ。しかし、意識があるだけで身体は動かないのだが。  現状説明はこんなもので良いだろう。それよりも僕のこれまでの話を聞いて欲しい。いや、聞きたくなくとも話すから聞いていって欲しい。  事の始まりは半年ほど前だ。その頃は少しお金に困っていてね。というのもその頃は僕の周りには金に強情な奴らばかりが集まっていた。今までニコニコ笑って僕に金を渡していた連中が、急に掌を返すように僕の姿を見るなり怒鳴り散らかすようになったのだ。  金を借りては競馬とパチンコにつぎ込み、少しばかり読みが外れてスったことが原因だろうか?たかが2~3回の失敗で怒るとは短気な奴が増えたものだ。それともFXで資産を溶かした方が原因だろうか?まぁどちらにせよ僕が悪い訳ではないのに、八つ当たりするとは、人格がなっていない。競馬は馬が悪いし、パチンコは台が悪いし、FXは相場が悪い。  人のせいにするのは良くないと思う。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加