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 ある探偵、偶然ひとりの男に注目する。あごに傷のある男だった。しぐさや言動から外国から来たらしいことが想像できた。その男がカジノへ行ったので探偵もついていく。外国から来たという勘は当たっていたようだ。男はカジノの仕組みについてよく知らないようだった。探偵が教えてやる。男が名乗るが、探偵は長年の経験から偽名ではないかと思う。その証拠に身分証明をするのに出しかけたパスポートを戻した。なにか事情があるのだろう。その後男はカジノでだいぶ勝ったようだ。  探偵に上層部からの依頼が届いた。ある人物を探せと。その人物とはあの男だった。探偵は男を売ることに少々ためらったが、職務を遂行した。男の止まっているホテルを知らせる。一日もすれば飛行機で男をとらえにやってくる。それは男の死を意味していた。この段階になって探偵はまだ悩む。なぜか知らないが、男に情が湧いていた。探偵はバーへ行き、男に彼を殺しに来るやつがいることを伝える。だが、男は逃げようとしなかった。いままでさんざん逃げてきた。もうこの場所で終わりにしようと思う。そういった。やがて、バーのとびらが開き、ふたり組の男が乱入してきた。男を見つけると発砲する。男も隠しもっていた銃で応戦した。ふたりの刺客は銃に撃たれて死んだ。探偵が男に駆け寄る。男も全身を撃たれていた。間もなく男は死んだ。  事件のあと、銃撃のあったバーは地元で有名になった。資格が男を狙って壁に当てた銃痕が話題になった。だが、男の銃は壁に穴をあけなかった。すべて命中させたからだ。  ハードボイルドな話でした。はじめから終わりまで緊迫感があっておもしろい作品でした。
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