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 ある少女、小学校で同級生の万年筆を盗んだ罪に問われる。少女はやっていないが、先生と同級生たちは少女が盗んだと決めつけている。この事件をきっかけにいじめがはじまり、少女は不登校になった。そんな少女を助けようとしてくれた少年がいる。クラスで浮いている少年だ。家が極度に貧しく、風呂に入っていないので体臭がひどい子だ。その子が同級生に聞きこみをして真犯人を見つけてくれた。事件は解決、犯人の子どもは間もなく転校し、少女には日常が戻った。それからしばらくして少年が少女の家をたずねてきた。もう会えないという。少年は父親の借金で夜逃げした。それ以来、少年とは会っていないが、いまもときどき少女は少年のことを思いだす。いまはなにをしているのだろうと。  舞台は小学校ですが、本格的な推理小説でした。それを考えると、あらすじで書くべきは事件の流れのほうだった気もします。  あとこの話に出てくる少年もえげつない環境で生きていますが、子どもの話のせいかさわやかな読後感です。夜逃げして行方知れずですから、さわやかに終わると感じるのもおかしな話ですが、いい話だったなという感想です。
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