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 ある男性、春の山へ行くとどこからか女性の声がする。声の主を探す。それは人間ではなく鳥であった。その鳥がいうには自分のうつくしさに嫉妬した姉に呪われてこんなすがたにされてしまったのだとか。男性にもとに戻してほしいと頼む。材料を集めてもらえば戻れると。男性は材料が高価なのに躊躇する。その鳥は小判が隠してあるので費用の心配はないという。それならばと男性は引きうけようとする。しかし、ここで男性はひらめいた。せっかくのうつくしい女性だ。もとのすがたに戻れたら自分と結婚してくれと提案した。女性は受けいれた。男性は材料を集めて女性をもとのすがたに戻した。ところが女性の顔を見ると、思ったよりうつくしくない。自己を過大に評価しているのか、昔とうつくしさの基準がちがうのか。さらに困ったことに女性は男性からはなれる気がないらしい。困りはてた男性は女性を病院へ連れていった。医師は「春ですからね。こういうひとも出てくるでしょう」と女性を引きとってくれた。  人間のすがたに戻ったら思ったのとちがった話でした。メジャーなアイデアですかね。
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