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 ある精神分析医のもとに男性がやってくる。男性の子どもの相談だ。子どもが妖精を見ているという。幻覚なのではないですかと、医師が聞く。しかし、幻覚にしては子どもの話が理屈がとおっているのです。本から出てきたというのですが、その妖精は本の読みかたを教えてくれるとか。男性が教えてもないことを妖精から聞いたというのですから、本当に妖精が見えているとしか考えられません。医師は男性に催眠術をかけることにした。両親の傾向からなにかわかるかもしれないと思ったからだ。男性を眠らせて過去へさかのぼらせる。医師が子ども時代に戻った男性へ聞く。妖精を見たことがあるかい。男性は答えた。あるよ。その妖精はどこへいったんだい。本のなかから出てきて、しばらくしたら消えちゃった。でも、本の読みかたを教えてくれたんだ。情報は得た。医師が催眠を覚ます。なにかわかりましたかと聞く男性に「しばらく様子を見ましょう。それで解決しなければ具体的な方法を考えます」と告げた。  数日後、男性が報告に来た。子どもの前から妖精は消えたらしい。なんだったのでしょうか。男性が聞く。正体を突きとめなくともかまわないでしょう。よい妄想というのがあるものです。それに原因を追究してもたどり着くかどうかわかりません。  子どもに本の読みかたを教えてくれえる妖精の話でした。ファンタジーな話ですね。
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