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 ある探偵、助手とともに盗聴に関する聴取のため市から呼びだされる。そこには探偵のほかに四人の同業者がいた。待合室に五人の探偵がいる奇妙な光景だ。探偵の順番が来て呼ばれる。聴取の部屋に向かう。役人からは盗聴のことを聞かれた。探偵が依頼人にだまされた事件だ。偽名を使い、自分の家を盗聴するよう依頼された。もちろん、そいつは本物の家主を偽っていたわけだ。その依頼人のうそに気がついた探偵だったが、一歩遅かった。依頼人はぱたりとすがたをくらまし、それ以来会えていない。役人が話を聞きおえる。別の部屋にある男がいるといいだした。部下にその男を呼んでくるよう命令する。だが、その男は絵躯体で首を絞められ死んでいた。助手が様子を見にいくと、あのときの依頼人だ。死体で再会するとはとんでもないことになった。探偵と助手は同業者のいる部屋へ戻る。犯人がいるとすればこの建物のなかだ。しかし、くわしく事情を聞く前に探偵たちは男を殺害した容疑で逮捕された。  保釈金を払って解放された探偵はあのときいっしょだった同業者をホテルの部屋に呼びよせる。探偵が殺害した確固たる証拠はない。彼らもまだ容疑者だ。同業者を集めると、探偵は事件について協力しようと呼びかけた。犯人をあげれば自由になれる。ここにいる探偵ならば警察よりも有能だと。同業者はそれに応じた。ひとりひとり事情を聞く。すると、どの同業者も探偵と同じように殺された男にだまされていたことがわかった。しかもその盗聴先は市の委員会のメンバーであった。探偵は同業者にできる限りの協力者を集めてほしいと頼んだ。聞きこみをさせる。満足な結果が得られたので、探偵はあの役人と自分たちを逮捕した警部を呼びだした。そこで真相を明らかにする。同じ男にだまされた人間が一度に集められるのは不自然だ。委員会には不自然な金の動きがあった。盗聴の件があって、役人が探偵たちを集めたのだろう。しかし、そこに殺された男があらわれた。役人の動きを知って、ゆすろうとしたのだろう。そこで男を殺し、探偵に罪をなすりつけた。これが事件の全容である。犯行をごまかすには探偵が多すぎた。  探偵が集まる話です。集められた探偵を過去にだました依頼人が殺されて、どの探偵が殺したんだと思わせておいて、じつは探偵たちを集めた役人が犯人でしたという話でした。
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