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 わたしが馬車の馭者から聞いた情報はその農場が喉きり農場と呼ばれていることだけだった。軽い気持ちで農場に着く。そこにはやせた動物しかいない。薄気味悪い夫婦が経営しているようだ。この亭主がなぜか毎日包丁を研いでいる。でてくる食事は粗末なものだ。しかも、食事のたびに動物が消えている。農場からは動物が一匹また一匹といなくなる。亭主は包丁を研ぐのをやめない。そして、残りの動物がにわとり一匹になったとき、亭主の妻を見なくなった。わたしはそしらぬふりをして農場から逃げだした。走って走ってなんとか逃げきったわけだ。  不気味な農場の話でした。短くまとまっていて読みやすかったです。
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