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 ある電気会社、経営に行きづまっている。このままでは倒産だ。会議が開かれるが、妙案は出ない。そこでなにを思ったか、宇宙へ助けを求めようとなった。人間追いこまれるとなにを考えるかわからないものだ。さっそく電波塔がたてられ、宇宙に電波が送られる。期待しないで待っていたが、なんと返事が来た。人間と同じような生命体で、地球より文明がすこし進んでいるらしい。指示されたとおりの製品を作る。ボタンを押すと料理をしてくれる機械。ボタンを押すと片づけをしてくれる機械。どれも便利で商品は飛ぶように売れた。宇宙からの指示に従っていればよいのだ。これ以上楽なことはない。ある日、いままでのものより大きなものを作るよう指示が飛んできた。なにかはわからないが、きっと役に立つものだろう。社員はそれを作る。これはなんなのですかと聞くと、兵器による被害を完全に防ぐ装置だと返ってきた。実験してみたところ、効果は本物。各国に言い値で売れた。つぎにまた大きなものを作れと言ってきた。なんの疑問も持たずに作る。装置が完成する。それはワープ装置だった。宇宙人が地球にやってくる。なんのために来たのかと聞くと、母星の人口が増えすぎた。この星に移住する。いままであらゆることを教えてやったが、おれたちを追いかえす方法だけは教えていない。地球人に移住を防ぐ手立てはなかった。まったくもって人間のように図々しいやつらだ。  宇宙人の言うとおりに便利な装置を作っていたらひどい目にあった話です。ドラえもんみたいな話ですね。
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