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 ある男が死体で見つかった。その男はひとりの女性に恋をしていた。しかし、男には恋敵がいた。しかもややこしいことに男の姉がその恋敵に好意をいだいているのだから話はややこしい。男が恋敵に喧嘩をふっかけ、姉が仲裁に入ろうとしたところ、恋敵に散々罵倒され、男が恋敵を殺してやると宣言したできごとがあった。事件が起きたのはそれからしばらくしてのことだ。男を殺したのはどう見ても恋敵なのだが、彼にはアリバイがあった。そのアリバイを証明したのは皮肉にもけがをして動けなかった男の姉だ。探偵はこの話を聞くなり、恋敵が犯人だと断定した。男の姉が証言したアリバイは本来男のためにあったものだったのである。男が恋敵を殺しに行ったところ、返り討ちにあい撃ち殺された。その結果、恋敵のアリバイが成立したというわけである。だが、困ったことに恋敵と男の姉が恋仲になったらしい。証言を覆すのはむずかしくなりそうだ。それでも探偵はいう。ふたりの裁きは神がしてくれるさと。  男のためのアリバイが犯人のアリバイになってしまった作品でした。短くまとまった話です。
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