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 ある宝石商の男性が友人たちの集まる会合にやってきた。男性はきれいな宝石を持参してみなに披露した。うつくしいものを愛しているのだという。だが、そんな男性がうつくしくもなく価値もない石をひとつだけ持っている。それは祖父から受けついだ隕石だ。隕石といっても科学的価値はない。値段もつかないようなものだろう。そんな石を五百ドルで買いたいと言ってきた男がいた。男性はその男が気に入らなかったので断った。なぜ、男がそんな高額を提示したのかいまもわからない。この石を手に入れたころ祖父は海外にいて手紙とともに小包で送ってきた。そのころ祖父がいっていた国に有名な隕石がある。男性の家では、そこの隕石をそぎ取ったのではと伝わっている。だが、男性が学芸員に石を見せたところ、そのような跡はないらしい。なんの価値もない石に男はなにを見出したのか。友人のなかのひとりが言った。祖父からの手紙はいまも保管してあるのですか。もちろん。では、その手紙を包んでいた紙はいかがでしょうと聞いた。男性はそういえば男と会話して以来見ていないと答えた。友人は言う。男の狙いは包み紙でしょう。あなたの祖父がいっていた国の昔の切手が貼られていたはずです。男は切手に目をつけたのです。  あらすじは簡単ですが、実際の話は豊富な知識が用いられていて楽しめました。
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