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 ある研究所に勤めている男性がいる。精神を病んで入院している同僚について悩みがある。知りあいたちに相談する。その同僚は最新の研究を完成させた。それに関する書類は金庫にしまってある。という。もちろん、妄想にとりつかれた可能性は高い。しかし、万が一研究の完成が本当だった場合、同僚どころか、世界にとって損失だ。男性は同僚の妻に許可をとって金庫を開けようとしたが、金庫が開かない。暗証番号は妻がメモしているはずなのだが、そのとおりに入れても開かないのだ。12R2716という番号である。12右(right)に回して27左、16右と回すことを意味するはずだが開かない。いろいろな意見が出される。Rは12ではなく27にかかっているのではないか。しかし、男性はそれも試したという。さらに右右右も左左左も試した。ダイヤルは30までしかないので、271や716はあり得ない。みんなが行きづまっているところへ知りあいのひとりが言った。そのRは小文字だったのでは。男性はそのとおりだといった。妻が残したメモには小文字のrで書かれていた。さらに推理は進む。同僚が書いたオリジナルのメモは手書きではなく、タイプライターで打ったものでは。タイプライターで打つと12r2716とl2r27l6はそっくりだ。1ではなく左を示すlだったのだろう。 暗証番号をめぐるなぞ解きの話でした。パズル的な話でおもしろかったです。
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