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 ある男性、呪いの仮面を飛行機に持ちこむ。高値で売れるのだ。席に座るなり奇妙なできごとがはじまる。となりの席に盲目の少女が座った。機内は半分ほど空席だ。飛行機が飛びたつ。少女は慣れていないのか、祈りを唱えはじめた。男性は眠ろうと努力する。少女が仮面をかぶっている夢を見た。仮面をつけた少女は血を吐く。男性の服に血がかかる。その血のなかに無数のうごめいている物体がいる。それが男性のなかへもぐり込んでくる。男性が目を覚ます。少女はとなりで眠っていた。微動だにしていない。男性は少女が気味悪くなり、席を移る。仮面の入ったリュックをもって後部へ向かう。途中でリュックに穴が開いていることに気がついた。仮面がない。男性は探しに行く。もとの席へ戻る。床が濡れている。男性が座席を調べようとすると、少女が湿った咳をした。血が降りかかる。男性は痛みを感じて悲鳴を上げる。いつの間にかひざにナイフが刺さっている。さらにいままで気づかなかったが、これだけ男性がさわいでいるのにほかの乗客の反応がない。様子を見ると、みんな死んでいる。大惨事だ。男性はコックピットへのとびらを叩く。応答がない。血が迫ってくる。よく見ると、仮面と同じ顔をした無数の生物だ。殺されるのかと覚悟する。しかし、生物は男性に仮面をかぶれといっているようだ。ほかに道はない。男性が仮面をかぶる。小さな生物が仮面の口から侵入してくる。すべての生物が入ると、飛行機が着陸した。男性が降りたつ。もう男性は人間のすがたをしていない。  ストレートなホラー小説でした。呪いの仮面が引きおこす現象を描写して怖がらせるタイプの話でした。
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