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 ある男性がいる。結婚を控えているが、その男性に手紙が届いた。過去の殺人に件に関する脅迫だ。男性は悪徳弁護士に相談をした。国外に旅行するアリバイをつくって脅迫相手の女性を殺せといわれた。男性は女性の家をおとずれて、女性を始末する。死体を浴室に運び、薬品で溶かす。きれいに溶かしたところで警察が家に入ってきた。男性はがっかりする。いままでしたことはむだだったのか。男性の裁判に入る。状況証拠は男性が犯人だと示している。世論の感情も男性の有罪をうたがわない。男性の弁護を務めている悪徳弁護士も目立った反論はしない。しかし、裁判も終盤になって悪徳弁護士が口を開いた。被告が直接手を下した証拠はどこにもない。死体は見つかっていないし、男性が女性をさした場面も目撃されていない。この場合、被告は裁けないこととなっている。裁判所は騒然とした。たしかに法律の抜け穴である。裁判官は男性に無罪を言いわたすしかなかった。  男性はぶじに結婚することができた。  犯罪者を無罪にする悪徳弁護士の話です。昔の話なので現代とは事情がちがいますが、法律の抜け穴はいまも健在ですから、こういう需要があってもおかしくないでしょう。
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