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 ある夫婦、電気を消して夜中に電気店で張りこんでいる。ここのところ、連日泥棒に入られているのだ。そいつは鍵も開けず足あとも残さずに電気店の商品を盗んでいく。やってきたところを捕まえて正体を明かしてやろうという作戦だ。夫婦の目論見どおり泥棒がやってきた。電気をつける。泥棒の正体は人間ではなかった。そいつは悪魔だと名乗り、王さまの命令で商品を持っていかなくてはならないといった。どこから来ているのだと聞くと、はるか過去からやってきたという。待てという夫婦のいうことを聞かず、悪魔は今夜も品物を持ち去った。このままではいけないと、夫婦は悪魔よけの呪文を世界中からかき集めた。翌日もやってきた悪魔に呪文をつぎつぎに唱える。しかし、なにひとつとして効果はない。悪魔ではないのかと聞く夫に、たしかに悪魔です。しかし、あなたがたがわたしのいる国を突きとめられるとは思いませんといって今日も泥棒は消えた。夫婦は策を練った。あえて品物を壊しておいた。それを知らずに品物を持っていった悪魔は王さまに渡した商品が故障して罰を受けることになった。たまらず悪魔が帰ってきて修理してくれという。夫婦は修理代を要求した。やっと話が通じたわけだ。そこでどこの国の悪魔なのかと聞くと、わたしの国を聞いてもしかたありませんよ。どうせ、あと数年で滅びるのです。アトランティスという名でして。  アトランティスは実際にあったのならおもしろいでしょうね。未知の大陸、島はロマンがあっていいですね。
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