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 すさんだ町のはずれをふたりの子どもが歩いている。少女と少年だ。先を歩く少女がなにかものを拾った。ポケットに入れる。少年は少女がなにを拾ったのか気になる。聞いてみると、赤ちゃんの手だという。きっとばらばらにされて殺されたんだわと少年をおどかす。そんなわけはない。少年は見せてみろと迫る。しつこい少年に少女は根負けした。ポケットから拾ったものを出す。なんだ、人形の手じゃないか。少年はいう。きれいな断面をしていた。するどい刃物で切られたのだろう。ふたりは町へ帰る。この街のどこかに刃物をもってうろついている人間がいてもなにもおかしくはない。  町のすさんだ空気がよくあらわれていておもしろかったです。殺人鬼がいてもおかしくない雰囲気は読む分にはわくわくしますね。現実世界では近寄りたくもないでしょうけど。
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