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 ある夫婦、一時的に都会をはなれて暮らしている。夫が天幕毛虫のことばかり話して、妻はうんざりしている。夫は天幕毛虫を全滅させるのだと息まいている。医者から電話がかかってくる。夫の病気についてだ。夫は元気だと答える。医者との会話が終わると、夫はふたたび毛虫と格闘をはじめる。妻は都会に戻る気だ。もう二度と夫とこの場所に来ることはないことを知っている。たとえこの場所に戻ってくることがあっても、夫はいない。  病気の夫と最後のときをすごす話でした。夫は自分の状態を知らないのが悲しいですね。
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